『反りは永遠のテーマ!』
それは大変奥深いのです。
結論から申しますと、確立された法則や理論はなく、計算通りに反りをコントロールすることは不可能に近いと思われます。
それでは、初めからさじを投げてしまって元も子もないので、あくまで経験値と統計的な観点でお話させてもらいます。
よく『紙は生き物』と言われます。人と同じで呼吸をしますし、動きもあるからです。
紙の繊維が周りの空気に反応し、水分を出し入れすることで伸縮します。その結果が反りやねじれを発生させることになります。
単紙の場合、表裏が全く同じ状態であれば反りの問題はありませんが、表裏の状態が違えば厳密に言うと反りが発生していると思われます。
しかし、合紙の場合になると話は変わります。
100%フラットな合紙品をお客様に提供することがごく当たり前の品質と思っておりますが、単に紙と紙を貼り合わせるだけでは良い製品はできません。
合紙は接着剤が媒介します。接着剤を塗布する紙は、接着剤の水分を強制的に吸い込むことにより先ず紙目と平行になっている側が伸びます。
貼り合わせることにより、塗布されてない紙は塗布されている紙から水分を吸収しようとします。接着剤の被膜が形成されるまでに双方の持ち込み水分量が決まります。反りは水分量の平衡状態によって発生すると思われます。
つまり、反りをコントロールするのは接着剤の性能にもよりますが、大部分は紙の含水率の問題なのです。紙の水分量を把握し、コントロールすることが反りを制すると言っても過言ではないでしょうか・・・
また、反りの程度の大小は紙目が同じ場合と逆目の場合とでは違います・・・面白いですね。
近年、生産性向上や高度化・高付加価値化などと言われておりますが、材料や原料にはあまり手を触れず作業する現場が増えていることに疑問を感じます。確かに出来るだけ手を加えずに原材料をセットし、一定の数値設定でトラブルなく稼働させる生産プロセスが理想でしょう。
ただ、それでは本物を作りだす現場力は低下していくのではないかと思います。材料や機械と向き合う姿勢がとても大切です。
先程も言いましたが、「貼合における当たり前の品質」は、普通のことに見えて実は「非常に洗練された感性とセンス」が存在しています。合紙に必要かつ大切な感性とセンスとは、紙に触れ感じ取る肌感覚なのです。
当社貼合品からそれを感じて頂けるよう日々努力しております。